「きっかけ」を第一歩に変化を楽しむ! 「菱洋エレクトロ」で活躍する女性リーダー×須田侑太郎
中見出し「菱洋エレクトロ株式会社」企画本部広報部部長 田中葉子さん(右)、ソリューション事業本部 オペレーション部 loTオペレーショングループ グループリーダー 日高千佳絵さん(左)× 須田侑太郎
3月8日は「国際女性デー(International Women‘s Day)」。名古屋ダイヤモンドドルフィンズは、ドルフィンズスマイルの重要コーズの一つに「女性活躍推進」を掲げ、啓発活動に取り組んでいます。今シーズンも国際女性デーに最も近いホームゲーム秋田ノーザンハピネッツ戦(3月2日、3日)に国際女性デーイベントを実施いたします。日々頑張る女性を応援するべく、国際女性デーの企画として、2021-22シーズンは「世界の山ちゃん」代表山本久美さんと、2022-23シーズンは「三菱電機」で活躍する女性リーダーとの特別対談を実施して参りました。2023-24シーズンは、ドルフィンズが取り組む社会貢献活動、「ドルフィンズスマイル」の活動を積極的に取り組んでいただいている「菱洋エレクトロ」で活躍する女性リーダーと対談いたしました。
営業をサポートするオペレーション職から、社内初の営業職として活躍し、現在は女性初の部長職に就任した田中葉子さんは、自社の女性管理職比率を2025年比で2倍にすることを目標に掲げている同社で、ジェンダーに関係なく、多くの部門・職種でキャリアを積むというキャリアを体現されています。同じくオペレーション職として営業をサポートするチームでグループリーダーに就任した日高千佳絵さんは、子どもの頃は目立つタイプではなく委員長などの経験も無かったが、初めてのリーダーを経験。チームとしての成長を常に考えながら様々な立場のメンバーにも丁寧に向き合うことを大切にされています。
そして、ドルフィンズのキャプテン、ドルフィンズスマイル「女性活躍推進」アンバサダーの須田侑太郎選手。チームが苦しいときも常に前向きにチームを鼓舞する姿が印象的な須田選手は、プロバスケットボール選手のキャリアの中で初めてのキャプテンに就任。キャプテン就任には強い意志と想いがありました。
そんな3名が日々頑張る女性を応援するべく、お互いの共通点である「リーダー」という視点から、日々のプレーや仕事に対しての想いについてここだけのトークを繰り広げます。
それぞれ異なる子ども時代とリーダーになるきっかけ
——田中さんは昨年シーズンのプロギングイベントをサポートいただいた際にご来場いただきました。日高さんは名古屋出身とお聞きしていますが、ドルフィンズの試合を観戦されたことはありますか?
日高さん(以下敬称略):実は昨日の大阪戦が初観戦です!!
(1月31日(水)大阪戦の翌日に対談を実施)
須田:ありがとうございます!勝てて良かったです。
田中さん(以下敬称略):大変盛り上がりとても良い時間を過ごさせていただきました!
——子どものころからリーダーシップを発揮してきたのですか?
日高:子どものころは目立つタイプではなく、委員長などの経験はありませんでした。会社でのグループリーダーがほぼ初めてのリーダー経験です。グループリーダーになるときも、女性のリーダーとして活躍している田中さんの姿を見ていたので、自分で大丈夫かな?という心配はありました。
田中:仕切るタイプではありましたが、リーダーをたくさん経験してきたわけではありません。営業職に職種を変更するときには、「田中なら出来ると思うよ」「やってみる?」と言われたので、「やります!」と答えました。
須田:僕は小学校、中学校、高校ではキャプテンを任されていた経験はありますが、リーダーだからというよりも、「試合に多く出してもらっていたから」「必然的」にという感じが強かったです。大学生になってからは、更に上のレベルの選手とプレーをするようになり、「リーダーシップ」の発揮の仕方が分からないこともありました。昨シーズン後半には、チームとしてもけが人が増え、とても悔しい思いをして、「自分でなんとかしたい」と強く思うようになりました。同時に、「チームを引っ張っていく」手応えを感じ、今シーズン自ら「キャプテンをやります」と、プロ選手になって初めてのキャプテンにチャレンジしました。昨年の悔しさが、リーダーにチャレンジする「きっかけ」になりました。
菱洋エレクトロの女性活躍施策とそれぞれのキャリアについて
——田中さんは社内で女性初の営業職、さらに女性初の管理職でいらっしゃいますが、社内で初めての営業職は多くの男性の中で大変なこともあったのでしょうか?ご自身のこれまでの経歴も踏まえて教えてください。
田中:菱洋エレクトロは三菱電機様の半導体販売から事業を開始した専門商社です。近年は、マイナンバーカードを保険証として利用するためのIT機器の納入や設置サービスを展開し、病院やクリニックなどのDXをご支援しています。入社したときは、文系の女性は何となく「オペレーション職」として営業を支えるという役割分担が決まっていました。私も入社したときは「オペレーション職」でしたが、営業職に職種を変更し、営業から営業推進で販促を担当し、2020年より現在の広報の責任者を担当しています。男性の中で何が大変かということを考えるよりも、女性が少ないということを逆手に取り「女性」というキャラクターを活かそうと思いました。実際には「女性の営業の田中さん」という風に、女性であることで社外のお客様にも覚えていただく「きっかけ」にもなりました。
——菱洋エレクトロは専門商社ということもあり、営業職・男性社員の方が多く女性は3割ということですが、サステナビリティレポートによると、2021年末に約7%だった女性管理職比率を2025年比で2倍にすることを目標に掲げていらっしゃいます。企業が変わっていくために大切なことはありますか?
田中:弊社の社員のうち女性は3割ですが、世代によって比率が異なります。7年前からは男女ほぼ同数をジェンダーに関係なく新卒採用するようになり、女性が営業職や技術職として毎年ほぼ同数配属されるようになりました。ただ、その上の世代は女性の人数が少ないこともありますし、職種が偏っていることもあって、管理職に登用される女性が少ない現状です。ジェンダー関係なく新しいことをやってみる「チャレンジ」を会社として進める環境にすることが大切だと思っています。
——企業も課題と向き合い日々変化しようとしていますね。日高様はなぜ菱洋エレクトロに入社しようと思ったのでしょうか。
日高:「親切」「安定している」「教育をしっかりしてくれる」という会社のイメージからです。名古屋出身だったので新卒で名古屋支社に配属、東京の本社に転勤、社内でも一番多くの社員が所属するグループリーダーを任されていますが、田中さんの様な目指す女性リーダーがいることはとても心強いです。
それぞれのリーダーシップ像、キーワードは「きっかけ」
——これまで出会ってきた中で、素敵だなと思う女性リーダーはいますか?
日高:マラソン大会のボランティアに参加した際、チームのリーダーが女性でした。早朝の大会で、ボランティアはスタート前に準備を開始するのですが、誰よりも早く動き始め、大人数をまとめる「完璧な段取り」「気配り」「モチベーションをあげる声掛け」全てにおいて洗練されていると感じました。帰りにはサプライズでお菓子をご用意してくださるなど、前後の準備を含めて、洗練されたリーダーがいらっしゃったおかげで無事大会を終えることができたととても印象に残っています。
——リーダーとして大変なことはありますか?
日高:名古屋から東京の本社へ異動したタイミングで、社内の大きな組織変更と重なり業務が山のようにあり苦労しました。多忙な中で学んだことは、「誰か一人のエースを育てるのではなく、メンバー全員の力を底上げしてチームとして力をつける」「共に成長する」という意識を強く持つようになりました。目まぐるしく終わりが見えないような業務にチームで取り組んだことが「きっかけ」となり、リーダーとして「大切にすることが何か」見えてきました。
須田:リーダーとして、大変だと感じたことはありません。順調です!(笑)
チームのメンバーは国籍や文化が異なる選手もいます。様々な個性があるので、それぞれの個性に合わせて接することを大切にしています。伝わっていないなと感じたとき、少し壁を感じることもありますが、相手に合わせて伝え方を考えて接しています。チームとして結果が付いてこなくて苦しい場面もありますが、言いたいことはストレートに伝えるようにしています。
日高:ストレートに伝えられるのは素晴らしいですね。わたしは、周囲の方へ相談するようにしています。真剣な会話もあれば雑談が「きっかけ」となりヒントを得ることもあります。自分とは異なる考え方や物の見方を気付かせてもらうことが多いです。
須田:僕も日高さんと同じように食事を通して相手を知り、食事が「きっかけ」でより深い話し合いができるようになったりするという経験は何度もあります。また、昨シーズンの悔しい想いが、キャプテンにチャレンジする「きっかけ」となり、今の自身があるので、どんなに小さなことも「きっかけ」から何かが始まると思います。
——リーダーとして大切にしていることはありますか?
田中:同じ気持ちで取り組むことが大切だと思っています。
チームのミッション、目標をしっかりと設定して、メンバーそれぞれが理解し、活動できているかを考えています。広報部は小さな部署なので、今はそれほど苦労はありませんが、部署を超えたプロジェクトを進めるときはこれがないと迷走してしまうので、特に気を付けるようにしています。
日高:チームとしての成長です。
苦しいときにみんなで乗り越えた経験から、一人では何事もできないので、チームとして成長しているか、成長に向けた行動であるかを大切にしています。
須田:背中で見せる、先頭きってやることを大切にしています。
自分がなりたいリーダーとは・・・?と考えたとき、いつも自分が尊敬するある選手のことを思い浮かべます。常に行動で示してくれるその選手のリーダーシップの真似をしてみることもあります。また、「バスケットボールを通して社会に何ができるか」スポーツの力を活用すること僕たちの使命であると感じているので、日々何ができるか模索しています。
菱洋エレクトロが取り組む「スポーツ選手へのサポート」
——菱洋エレクトロはドルフィンズの他にも女子バスケットボール「東京羽田ヴィッキーズ」や女子卓球選手のサポートなどもされていますね。今後女性支援なども会社として継続的に行う予定ですか?
田中:それぞれのスポンサーシップは色々なご縁で応援する機会をいただいたもので、いずれも活動理念に共感して応援させていただいています。そのため、アスリートのジェンダーは関係ありません。一度いただいたご縁は大事にしたいという考えがあるので、今後も男性アスリートだけでなく女性アスリートの応援を継続していくと思います。応援するということは素晴らしいことで、実際にドルフィンズの試合を観戦して私自身が感じた「勇気」「感動」というスポーツの力を、もっと社員に伝えていくことが私の役割でもあります。
——日本は世界経済フォーラムのジェンダーギャップランキングで先進国最下位を毎年更新しており、国内でも、なかなか女性の社会進出が進まない状況が続いています。この状況をどう感じていますか。
日高:突然変わることは難しいので、徐々にスコアや順位が上がっていければよいのですが、そうなっていない現状があるので、人々の認知度や意識に変化が必要なのかなと思います。影響力を活かしてこのような取り組みを率先して実施しているドルフィンズさんを尊敬します!社内ではグループリーダーは増えてきているので、田中さんの様な幹部層にもっと女性が増えると良いと思います。自身では、「女性だから」、「男性だから」こうしなければならないということに縛られず、自身が求められた役割を果たせるよう、また、メンバーが求められた役割を果たすことや目指す姿に近づけるように心がけています。
田中:ジェンダーによる役割分担は職場でも家庭でもなかなか変革できないと感じています。企業は、ジェンダーギャップ解消は生産性向上に必要であり、自社の成長につながると考えて取り組む必要があると思います。社内広報という部分では、社内イベントのMCを男女ペアの対等な役割でやってもらったり、社内報で取り上げる社員のジェンダーバランスを取ることを意識的に行っています。実際に、女性の育児休暇取得は100%で、男性にも女性と同様に育児休暇の制度はありますが、女性より取得率が低く期間も短い現状です。男女関係なく「働き方改革」をしていく必要があると思っています。
須田:ドルフィンズは、実際僕が所属してきたクラブの中でも女性スタッフが多く活躍しています。男女が補い合って自ら動き続けるということが大切なことだと改めて感じました。今日の対談は、僕自身「女性活躍推進」に対して考える「きっかけ」になったので、この機会を大切に、僕自身が発信することで、少しでもファンの皆さんの意識変革につながるのではないかと感じています。
きっかけから変わるチャレンジ
——それぞれの座右の銘や、大切にされている言葉を教えてください
田中:「多様性は人数分」
多様性はジェンダーや年代などで考えるものではなく、ひとりひとりがオンリーワンなので、ひとりひとりに向き合うことが必要。それが出来てはじめて多様性が組織の力になると思います。
日高:「貢献・協働・賞賛」
具体的に課題や困りごとを解決しようとするときにより強く意識します。
須田:「やればできる」
小学生のころから変わっていません。この言葉は本当に大切にしていて、「やればできる」といつも信じて何事にもチャレンジしています。昨シーズンの悔しい想いが僕としてのキャプテンになる「きっかけ」になっていますが、ドルフィンズには心が良い選手がたくさんいるので、みんなが一つになった熱い試合、感極まる試合を毎試合したいと思っています。
——最後に、名古屋の女性へのメッセージをお願いいします
田中:働く女性の方とお話をすると、色々と努力されていて学ぶことがとても多いです。ご自身の工夫や努力、成果を色々な形で情報共有し、自ら発信することを実践していただきたいです。ご自身は当たり前にやっているというお話をされる女性の方はとても多いのですが、立場が異なるだけで気づきや学びを得ることは多く、どんどん発信することの価値を知っていただきたいです。それがご自身のチャンスともなり、新たな出会いへとつながると私は信じています。
日高:貢献と協働を意識してチャレンジを続ければ積み重なって自身の成長につながると思います。楽しいときも苦しいときもありますが一緒にベストを尽くしましょう。名古屋は私の地元でもあります。地元にこのような様々な活動を行っているクラブがあることはとても嬉しいです。帰省した時にはドルファミとして、会場で選手にエールを送りたいと思っています!
須田:素晴らしい二人との対談を通して、リアルな声を聴くことで、「女性活躍推進」アンバサダーとして発信していくことの重要性を改めて感じました。男性、女性に捉われず多くのドルファミに支えて頂いて僕たちは活動しているので、アンバサダーとしての役割を再認識すると共に、共に名古屋を盛り上げていきたいという気持ちがさらに強くなりました。
対談の後は、2人とも学生以来というバスケットボールシュートにチャレンジし、田中さんは、「入った!」と、大きなガッツポーズを披露。謙虚ながらも何本もシュートに挑戦する日高さんに、須田選手は何度も「いい軌道!もうすぐ入る!」とアドバイスして盛り上げる優しい一面も。「リーダー」として活躍する3人の共通点は、「きっかけ」を自身のチャレンジの機会として捉え何事もポジティブに取り組む姿勢。異なるリーダー像の三人からのコメントが、ファンや地域の女性の勇気になるように願いを込め、今回の対談を締め括ります。
今回の対談は、今シーズンより会場でサブMCを務める堀江美穂さんによる進行で行われました。堀江さんは自身も3児の子どもを育てながら、ホームゲーム会場を盛り上げてくれています。バスケットボール経験のある堀江さんは自信満々でシュートに挑戦。きれいな軌道でシュートを決めて、大きなガッツポーズを決めました。
今回は、ドルフィンズスマイルパートナーとしてもドルフィンズを支えてくださっている菱洋エレクトロ様から女性リーダーをお招きしての大変有意義な学びの機会となりました。名古屋ダイヤモンドドルフィンズ株式会社は、2023年3月1日付けで「あいち女性輝きカンパニー」として認証登録され2年目を迎えます。今後も菱洋エレクトロ様のような日本ではなかなか進んでいない「女性活躍推進」という分野に果敢に挑戦する企業、そしていつもクラブを支えてくださるファンの皆さまと力を合わせて、ドルフィンズスマイルの女性活躍推進活動に取り組みます。